岡山大学大学院 環境生命自然科学研究科
環境生命自然科学専攻
地球環境生命科学学位プログラム
応用植物科学コース
岡山大学 農学部
総合農業科学科
応用植物科学コース
植物病理学研究ユニット
教授
E-mail: noutoshi (at) okayama-u.ac.jp
学歴
1995年 広島大学工学部第3類(化学系)発酵工学課程 卒業
1997年 広島大学大学院工学研究科工業化学専攻博士前期課程 修了
1999年 広島大学大学院工学研究科工業化学専攻博士後期課程 修了
(博士(工学))
職歴
2026年 岡山大学 学術研究員 環境生命自然科学学域(農) 教授 / 農学部副学部長
2023年 岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域(農) 教授
2021年 岡山大学 学術研究院 環境生命科学学域(農) 准教授 (研究教授)
2021年 岡山大学 学術研究院 環境生命科学学域(農) 准教授
2013年 岡山大学 大学院環境生命科学研究科 准教授
2009年 岡山大学 異分野融合先端研究コア 助教(特任)
科学技術振興機構 テニュアトラック普及・定着事業
旧若手研究者の自律的研究環境整備促進
「自立若手教員による異分野融合領域の創出(H20-24)」
2006年 理化学研究所 植物科学研究センター 研究員
2005年 The Sainsbury Laboratory, Research Scientist
Dr. Ken Shirasu 白須 賢 Laboratory
2003年 理化学研究所 協力研究員
2000年 理化学研究所 基礎科学特別研究員
筑波研究所 篠崎一雄 主任研究員
1999年 日本学術振興会 特別研究員PD
(広島大学:山田隆教授)
1997年 日本学術振興会 特別研究員DC1
受賞
岡山大学SDGs推進表彰(President Award)
研究分野 能年植物抵抗性誘導剤開発研究グループ
「持続可能な農業生産に資する植物病害防除剤(抵抗性誘導剤)の開発研究」(2022年1月)
公益財団法人八雲環境科学振興財団
第1回八雲賞(2019年11月)
公益財団法人山陽放送学術文化財団
平成25年度 学術奨励賞(農学分野) (2014年5月)
所属学会
日本植物病理学会
日本植物生理学会
日本ケミカルバイオロジー学会
日本生物工学会
International Society for Molecular Plant-Microbe Interactions
研究費
2025-26 PSI GAPファンドSTEP1
2024-26 科学研究費補助金 挑戦的研究(萌芽)
(No. 24K21871)
2024-26 科学研究費補助金 基盤研究B
(No. 24K01759)
2021-23 生研支援センター イノベーション創出強化研究推進事業
2021-23 科学研究費補助金 基盤研究B
(No. 21H02197)
2020-22 科学研究費補助金 挑戦的研究(開拓)
(No. 20K20572)
2018 (公財)八雲環境科学振興財団 平成30年度環境研究助成
2018-20 科学研究費補助金 基盤研究B
(No. 18H02206)
2017-19 科学研究費補助金 基盤研究B (分担)
(No. 17H03778)
2016-17 JST ALCA(先端的低炭素化技術開発)
2014 (公財)日本応用酵素協会 平成26年度酵素研究助成
2014 (公財)山陽放送学術文化財団 第51回学術研究助成
2013-16 科学研究費補助金 基盤研究B
(No. 25292035)
2012-13 大学機能強化戦略経費(岡山大学)(分担)
2012-15 JST ALCA(先端的低炭素化技術開発)
2010 (財)両備檉園記念財団 第32回研究助成
2010-11 科学研究費補助金 若手研究B
(No. 22780036)
2009 (財)倉田記念日立科学技術財団 第42回研究助成
2009 (財)住友財団 2009年度研究助成
2007-08 科学研究費補助金 特定領域研究 オルガネラ分化
(No. 19039034) (分担)
2008-09 理化学研究所
「妊娠、育児中の研究系職員の支援者にかかる経費助成」
2007 科学研究費補助金 基盤研究(C)(一般)
(No. 19510206) (分担)
2005-07 科学研究費補助金 若手研究B
(No. 17770049) (海外渡航により辞退)
2002-03 科学研究費補助金 若手研究B
(No. 14740449)
2000-02 理化学研究所 基礎科学特別研究員研究費
1997-99 科学研究費補助金 特別研究員奨励
経歴について
親の仕事の関係で、高校の途中で愛知県一宮市(一宮西高)から兵庫県姫路市(姫路東高)に転居しました(なお、一宮西の水泳部で同級生だった揖斐くんが現在同じ職場の同僚という奇跡)。
生物学や遺伝子工学を学べるところを目指し、広島大学工学部に入学しました(センター試験の数学で大ゴケ)。微生物や動植物など幅広い実験材料とテーマを扱う先生方の研究に触れることができ、大変素晴らしい環境でした(現在の自分の発想や人脈の糧となっています)。4年生から山田隆先生のご指導の下、単細胞緑藻類Chlorellaの染色体構造の解析に従事しました。テーマ自体の質や位置付けは深く理解できていませんでしたが、山田先生の博識と熱意あふれる姿勢、またラボの先輩方の雰囲気に惹かれて選びました。学んだことを直接的に活かせる職業に付きたいと考え、研究者を目指すことにしました。先輩も複数進学していたので、博士進学は比較的早い段階で迷わず決めました。学振の特別研究員に採用されたことと、先輩との共著がEMBO Jに掲載されたことは自信になりました。当時の所属学科での卒業要件は論文3報でしたが、地方大学出身者がサバイブするには良いプレッシャーだったとも思えます。レジュメを書く機会が多く、それを優秀な先輩や先生に毎度直してもらい、文章を書く素地を作って頂きました。
学位取得後の進路は随分悩みました。別分野の助教の話もありましたが、限られたスキルしかない自分がそれだけで生きていけるとは到底思えなかったので、博士研究員になることを強く望みました。ハエでの非対称分裂の研究(理研)、植物染色体の構造と機能の研究(大阪大学)、高等植物のストレス応答の研究(理研)が候補になりました。結果として、まずは高等植物研究の専門家になることを目指し、理研の篠崎先生の下に異動することにしました。テーマに強いこだわりはなかったので、将来の選択肢を広めに持てる形が良いと考えました。また基礎特研に採択されたことも影響しました(これは卒業要件のお陰でした)。海外も考えましたが、移ろうとする分野との差が激し過ぎることから、少なくとも国内でワンクッションおく必要はあるだろうと思っていました。
篠崎研には多くの研究員が在籍しており、また和子先生との共同セミナーもあって大変刺激的で有意義な時間を過ごせました。ここでの人脈も自分の貴重な財産になっており、現在でも助けてもらう機会が多い状況です。技術員の方や先輩ポスドクの方々の助けを得て、種の播き方から教えてもらうというゼロからのスタートでした。トランスポゾン変異体プールを用いたABA関連のスクリーニングを試行錯誤して行いましたが結局有望なものは取れず、また並行して行ってきたテーマも予定通りには進まず苦しい時期が長らく続きました(5年以上)。篠崎先生に時間を頂いてなんとか論文をPlant Jなどに掲載できたときは本当にほっとしました(他のラボではここまで時間は与えてもらえなかったと思います。感謝しかありません。)。大学では酵母遺伝学を目の当たりしてきましたので、遺伝子の機能解析のための遺伝学的手法の必要性を感じていましたが、マップベースクローニングが習得できたことも大きな収穫でした。これは同僚の方々のお力添えがなければ実現しませんでした。これも感謝しかありません。この時に扱ったslh1変異体は、抵抗性タンパク質であるRRS1-Rが持つWRKYドメインに1アミノ酸挿入があり、恒常的に免疫応答を誘導するものでしたが、非生物的ストレス応答と生物的ストレス応答のクロストークや、ガード仮説やネットワークモデルといった抵抗性タンパク質の活性化機構に繋がる発見となりました。その他の変異体も随分後になってから別の研究と繋がったりしており、研究活動の不思議さを感じます。
この経緯から、その先は植物微生物相互作用を主戦場にしようと考え、英国の白須博士の下に移籍しました。そこでも当初のテーマはうまくいかず、その後ケミカルスクリーニングで免疫応答に関わる生理活性物質を得るケミカルバイオロジーの仕事をはじめました。探索系を立ち上げるところから行い、膨大な量の96穴プレートがベンチに山積みになって笑われたこともありましたが、単調な作業があまり苦にならず、宝探しに対してモチベーションを高く保てたこともあり、10,000個の化合物から5群のヒットを得て非常に充実していました。植物微生物相互作用に関わる研究者ばかりのSainsbury Laboratoryで過ごした時間は大変貴重でした。研究者として最先端が生み出される現場の空気や方法を知れたことは、その後の研究に対する考え方や方向性に大きく影響しています。欧州の旅や異なる文化の中でのマイノリティとしての生活は自身の見識を大きく変えました。その後ボスの移籍に伴って横浜理研に移り、さらに探索を続けると共に、得られた薬剤の研究を継続しました。
ケミカルの仕事は化合物が得られてからのステップに長い時間を要するため、それらの仕事の成果は出せていませんでしたが、その後運良く岡山大学にテニュアトラック助教の職を得ることができました。異分野融合先端研究コアという部局でしたので、生物学と有機化学が融合したケミカルバイオロジーというテーマのマッチングが功を奏したのだと思います。このテニュアトラックは文科省の資金でサポートされていたため、自立して研究できる環境を整えることができました。学生はいませんでしたが、ポスドクや技術員を雇用することができましたので、その方々の助けを借り、白須ラボで出した芽をなんとか自分の仕事としてまとめさせてもらいました(普通じゃあり得ません。感謝しかないです。)。薬剤が植物免疫を活性化させる仕組みとして、サリチル酸の不活性化経路の一つである配糖化を阻害することを明らかにし、Plant Cell誌に発表することができました。植物免疫に関連するホルモンの合成や代謝に着目しようと思えたのは、篠崎研や理研の植物科学研究センターでの在籍経験があったからですが、これにヒットするものがあったのはラッキーでした。なお、最近の研究において、この時発見した配糖化酵素がサリチル酸以外にも全身獲得抵抗性を誘導するためのモバイルシグナルであるN-ヒドロキシピペコリン酸も基質とすることで、免疫応答の終息を担う重要な因子として機能することが明らかにされています。テニュアトラック期間の最後にはJST ALCAの大型研究費に採択して頂きましたが、これがなければテニュアは難しかったかもしれません。テニュア審査直前に採択メールをもらったときは絶叫してしまいました。この期間は分野の異なるテニュトラ教員達と横のつながりの中で過ごしましたが、研究の内容や姿勢はもちろんのこと、私生活などでも大いに勉強させてもらいました。
独立して研究室を主宰するということは、どのような生命現象の何を明らかにすべきなのかに気付き、そしてそれをどのように実験的に解析するかという方法論がイメージでき、さらに実際にそれを行って論文として発表する力が求められます。学位取得後はずっとこれができるようになることを意識して過ごしてきました。ポスドク時代には数多くの同僚研究者の研究やその推進方法をケーススタディとして学んできましたが、これも重要な経験でした。さらには、ボスの振る舞いや舵取り、人としての生き方についても、複数から学ぶことができました。(ただ偉大すぎて真似るにも程遠い感じですが。)
その後、農学部の植物病理学分野に採用して頂き、現在に至っています。工学、理学、農学と変遷してきましたが、生物学研究であることに何ら違いはありません。ただし、農学の植物病理学として現在解明すべき研究テーマは何か、それが農学部の学生が習得すべき知識や技術に則したものであるか、については熟考しました。そして様々な研究者や企業の方々との出会いの中から、農学に関するテーマが徐々に増えてきました。科学の発展の時流とマッチしたタイムリーさも重要だと考えています。
学生には一人1テーマを選択してもらい、自らの裁量でそれを推進する中で学びを得て成長してもらいたいと考えています。科学という営みを理解することはもちろんのこと、論文調査やそこからの情報収集を通じた実験方法の構築と実行、データ解析、レポート作成、プレゼンといった能力を備えた理系人材の育成・輩出を目指しています。もちろん博士号を目指す学生には、研究者として必要な素養の習得を全力でサポートします。
